前回のEB,CBの違いの記事の延長で、かつてメジャーだったMSCBという資金調達方法について解説します。

MSCBとは?

MSCB(Moving Strike Convertible Bond)はCBの一種で、「修正条項付新株予約権付社債」と訳されます。
ベースにあるのは社債であるため、発行企業は年利○%の利息を払う契約の元、資金を調達します。

CBとMSCBの違い

2つの大きな違いは、権利行使価格と、新株発行時の発行株数です。

権利行使価格 株数
CB 固定 固定
MSCB 株価により変動 株価により変動

MSCBは発行株数が株価により変動するため、

  1. 株価が下がる(むしろ下げさせる。理由は後で解説。)
  2. 新しく発行される株数が増える
  3. 一株当たり利益の希薄化
  4. さらに売られる

と、株価下落スパイラルが起こります。

仮に株価1円まで下落した時に新株予約権が行使されると、どんな企業でも乗っ取られてしまうことになります。
(もちろんこれを防ぐため、権利行使の最低価格を事前に契約するのが一般的です。)

なぜ暴落を招くMSCBが使われたか

MSCBが目立った2005年

そんな株価下落を伴うMSCBが乱発されたのが、2005年です。

2005年はM&Aが活発に行われ、資金需要が高い時期でした。

買収したい、でも資金が足りない

しかし買収側のほとんどが、ライブドアを筆頭とした、まだ実態の乏しいネット関連企業でした。

そのため信用力がないために銀行から資金調達できず、外資と連携しMSCBで資金調達・買収を行うという流れが活発になります。

  • MSCB発行企業(ライブドア等)・・・巨額の資金調達
  • MSCB引受企業(リーマン・ブラザーズ等)・・・MSCBの権利行使による高い利益

という目的が合致し、新株発行乱発による既存株主の利益を犠牲にしながら、MSCBを発行していきました。
(もちろん既存株主にはM&Aによる将来性を魅せることで、割高感をなくすようにしていました。)

2005年のMSCB発行額は、1兆円を超えていたそうです。

ライブドアの例

2005年2月、ライブドアがニッポン放送買収のため、MSCBで800億円調達するとのIRを発表しました。

引受先のリーマン・ブラザーズは、なぜ800億円もの資金を、信用力の低いライブドアに貸し付けたのでしょう?
それはライブドア株を空売りし株価を安くすることで、割安にライブドア株を取得できたためです。

(3) 新株予約権の行使に際して払込をなすべき額
本新株予約権の行使に際して払込をなすべき1 株当たりの額(以下「転換価額」という。)は、当初450 円(以下「当初転換価額」という。)とする。
転換価額の修正
本新株予約権付社債の発行後、毎週金曜日(以下「決定日」という。)の翌取引日以降、転換価額は、決定日までの3連続取引日(終値のない日は除き、決定日が取引日でない場合には、決定日の直前取引日までの3 連続取引日とする。)の株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の毎日の売買高加重平均価格の平均値の90%に相当する金額(以下「修正後転換価額」という。)に修正される。但し、かかる算出の結果、修正後転換価額が157 円(以下「下限転換価額」という。但し、下記�により調整される。)を下回る場合には、修正後転換価額は下限転換価額とする。
(5) 新株予約権の行使請求期間
2005 年2 月25 日から2010 年2 月23 日まで

さらに、平均株価の90%の価格で権利行使できるため、10%の利益が確約されているようなものでした。

個人投資家の熱狂振りによりリーマン・ブラザーズも失敗したとは言われていますが、それでも100億円以上の利益を出しました。

ルール改定により下火に

MSCBが転換点となったのは、2007年2月に発表されたルール改定です。

日本証券業協会は20日、株価に応じて転換価格を修正できる転換社債型新株予約権付社債(MSCB)について、証券会社に課す業界統一ルールの導入を決めた。今年7月にも適用を始める。主な規制として6つの大きな項目に分け、上場株式10%超の株式への転換を禁止するほか、1日平均出来高の25%を超える証券会社による市場売却などの禁止を盛り込んだ。証券会社が発行会社に対し、商品性や適正な情報開示の説明責任を負うことも明記した。[東京 20日 ロイター]

これにより大規模なMSCB発行が規制され、使用されなくなっていきました。

ライツ・オファリングによる資金調達もいずれ下火に?

今流行りの資金調達方法に、ライツ・オファリングというものがあります。
これもMSCBと同様、エクイティファイナンス(株式を使った資金調達)にあたり、2013年頃から多用されています。

詳細は次回書きますが、時価総額の2倍以上を調達するファイナンス手法であり、個人的には問題点も多いと感じています。

証券市場は常にルールとの戦いであるため、ルールに乗り遅れないようにしたいですね。

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株価暴落を招く?MSCBの仕組みとは

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