シャープ再建を半沢風にまとめる

5/8(金)の引け後、シャープが99%減資を発表しました。

2011年から続く経営不振の結果ではありますが、具体的にどんな経緯・背景だったの?とよく分からない方も多いと思います。

今回は、銀行主導で行われたシャープという大企業再生プランについて、人気小説の半沢直樹風にまとめてみました
(間違い箇所や推測で書いてる部分がかなり多いので、フィクションとしてお楽しみ下さい。)

独自路線を行くシャープと国策企業JDI発足

2011年7月。リーマンショックに東日本大震災と景気の良い話題がない中、液晶パネル業界も例外でなく、国主導の大規模な再編が行われつつあった。

経済産業省「国際競争力を高めるには、国内のメーカーが一丸となり世界と戦っていく必要があります。日立・ソニー・東芝との合意は取れました。何卒、短期的な視点ではなく、国益も見据えたご英断を、お願い致します。」

シャープ会長「お言葉ですが、我々は世界最大の液晶パネル工場である堺工場があります。他社はジリ貧でしょうが、我々はうまくいく。自社のリソースだけで十分立て直しは可能であり、競争力があるんです。この話に乗る道義は、我々にはありません。お帰り下さい。」

交渉決裂した帰り道の車中、産業革新機構のファンドマネジャーは口を開いた。

ファンドマネジャー「大層なことおっしゃいましたな。でも、国益なんてどうでもいいんでしょ?先生。」

経済産業省「よく分かってるじゃないか。我々が優先するのは経済産業省が得られる、省益だ。天下りの受け皿になる新会社は、大きければ大きい程いい。新会社はシャープと競合関係になってしまうが、シャープのシェアを奪うつもりで、新会社を大きくしてくれ。」

ファンドマネジャー「もちろんです。ファンドの役目は、企業を成長させることですから。」

2011年11月、こうしてシャープを除いた国内大手メーカーの液晶パネル事業を集約した国策企業:ジャパンディスプレイ(JDI)が発足した。

迷走するシャープ

2012年7月。供給過多のパネル市場では価格下落が続き、ますますシャープの経営環境は悪化していた。

渡真利「しかし鴻海、というか郭台銘会長もやり方がうまいよな。狙っているのはシャープ堺工場を保有するシャープディスプレイプロダクトだけだろうに、買収を確実なものにするために、”資金繰りに苦しむシャープ本体への出資”という飴と抱き合わせて買収提案をするとは。」

半沢の同期である渡真利は何かと理由をつけ、飲みに行く仲間だ。この日も仕事終わりに八重洲で飲むことになった。

半沢「まあな。しかも一度合意したシャープ本体への出資を、株価低迷を理由に再交渉へ持ち込み、赤字でさらに市場価値が毀損したところで堺工場を買収する。強引な手口だ。」

渡真利「結局シャープディスプレイプロダクトの株式46.48%を、660億円で手に入れた。簿価上は4300億円の堺工場を、1420億円という破格で買収したわけだ。」

半沢「それだけじゃない。今度は中小型パネルを生産する亀山工場を買収しようと、シャープ経営陣に提案している」

亀山工場と言えば、iPhoneを中心とするアップル向けの最先端工場だ。

渡真利「シャープ本体にいる亀山工場を新会社に移行して、新会社だけを買収する、って話か。鴻海もアップルからEMS(受託生産)を受けているが、スマイルカーブという言葉がある通り、製品組立だけでは利益率が低いiPhoneの基幹部品であるパネル生産を取り込み競争力を付けるのは、鴻海が切望していることだろうな。」

半沢「鴻海だけじゃない。中国・韓国勢だって付加価値を上げるため、亀山工場の技術力を手に入れたいと考えているはずだ。」

渡真利「なるほど。しかしどんな不利な取引でも契約せざるを得ないとは、”カネがない”って怖い話だな。」

2013年3月。韓国・サムスン電子によるシャープへの出資が、日経新聞の一面を飾り、現実のものとなった。

2000億円のDES

2015年3月。

シャープは2012年、2013年3月期決算で2年連続9000億円の赤字を計上し、2014年3月期こそ115億円の黒字だったが、2015年3月期決算では再度赤字転落する予想となっていた。

これを受け株価も低迷し、シャープは窮地に立たされていた。

しかし半沢が勤務する三菱東京UFJ銀行は、当時法人担当役員だった永易が会長職に昇格し、シャープに対する出資を加速度的に増やす傾向にあった。

その融資額はメインバンクであるみずほ銀行に並ぶ金額まで推移していた。

半沢「ここまでバランスシートが傷んでいるとは・・。」

審査部が扱っていた案件であったシャープは、その再建計画の甘さから行内における審査部の信用を落とすことになり、急遽半沢が課長を務める営業第二部がシャープ再建を扱うことになったのは、つい1ヶ月前のことである。

そんな中、シャープ会長から半沢の元に直々に電話が鳴る。

「これからお会いできないでしょうか。」

本社に招かれた半沢は、部下を連れ社長室を訪ねる。

シャープ会長「再び、金融支援をご協力頂きたい。」

そう言って出された資料には、現在抱えている負債のうち2000億円を株式化する、DES(デット・イクイティー・スワップ)を主軸とした再建案が記載されていた。

DESを使えば債務者は有利子負債を減らすことができるため、資金繰りに困窮するシャープに取ってはメリットが大きい。

銀行など債権者側からしてもこれ以上追加融資での救済はできず、債権放棄も避けたい状況のため、DESはシャープ再建の最後の手段という認識だった。

半沢「ですが会長、当行とみずほ銀行で、合わせて1兆円以上の有利子負債があります。これは今まさに遂行している再建計画を実施すれば、問題なく返済が可能なはずです。まずは我々が出した再建計画を遂行し、借りたものは返す、それがスジなのではないでしょうか。」

そう言った矢先、秘書室から一人の男が現れた。半沢と常に敵対する、金融庁の黒崎だった。

黒崎「あんた達はDESを受け入れるしかないの。そう、シャープ再建のためにね。」

半沢「またお前か・・。しかしDESを行使すれば銀行が株式保有リスクを負うことになる。2000億円もの株を保有することになれば、銀行全体の収益に関わる。この要求は受けられない。」

「それは半沢、あなたの意見でしょ。持ち帰って稟議書回してみなさい。どちらが正しいか、すぐに答えが分かるから。」

DES合意、そして99%減資

拒絶したい旨をメモして回したDES受入れ対応に関する書類だが、頭取の意向もあり、役員会でDESを受け入れることが決定した。

同時に、半沢はシャープ再建に向け影響力を高めるため、役員としてシャープへ出向することも決定した。

渡真利「金融庁から圧力掛けられたとは言え、DES受け入れざる負えなかったのは腑に落ちないな。省益を考える官僚が、大企業の天下り先を確保するために救済し、そのために銀行が利用される。結局大手だったら国が救済してくれるのかよ。

半沢「俺たち銀行も同じだ。リターンを求めた結果金融危機を引き起こし、最後は公的資金で助けてもらう繰り返しだからな。そういえば経済産業省もシャープの液晶パネル事業について、出資の打診をしているようだな。」

渡真利「シャープ再建は天下り先を巡る、経済産業省と金融庁の代理戦争ってわけか。半沢、お前はどうするんだ?」

「とにかくシャープ再建に注力する。さっきそのスキームが纏まったんだが、渡真利もびっくりするぞ。」

渡真利「どんな再建スキームなんだ?」

半沢「全容が言えないが、まずは明日、1200億円ある資本金を1億円まで圧縮するIRを出す。99.9%の減資だ。

渡真利「資本金1億円ということは、下請法や税制メリットを享受するのが目的か。にしても3兆円売上がある会社が中小企業とは・・。税法も抜け穴だらけだな。」

半沢「再建に使えるものは使わないとな。いずれにしても減資には株主総会での決議がいる。5/14(木)に発表予定の中期経営計画で、株主が納得する内容を発表できるよう、努力するよ。」

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経営危機のシャープを半沢直樹風に解説するとどうなるか?

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