2日連続の通貨切り下げ

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8/11(火)AMに中国政府が発表した人民元通貨に対する基準レート算出方法の方針変更で、世界の株式市場が荒れています。

上記はドル/人民元の長期・月足チャートですが(下にいくほどドル安・人民元高)、先日の発表を受け元安が進んでいることが分かります。

しかし元安が進むことによってなぜ世界同時株安が起きるのか、よく分からない人も多いと思います。

今回はそんな疑問を持つ人向けに、長期でみた為替レートと中国の政策転換と合わせて、今後の株価について考えていきたいと思います。

中国の為替政策

なぜ中国がここまで経済発展してきたかと言えば、以下の流れとなります。

  1. 元レートを中国経済の実力より割安にし、貿易黒字・外貨流入を起こす(〜2005年)
  2. 緩やかな通貨高を掲げる政策を打ち出し(人民元改革)、さらなる外貨流入を起こす(2005年〜2014年)
  3. 獲得した外貨を中央銀行で一元管理し、市中銀行に融資する元手にする
  4. 信用創造で投資促進、未曾有の経済発展を実現

つまり国策で外貨をかき集め、それを元手に国内投資をし、経済発展してきたのが中国となります。

中国政府の発表によれば(ただし政府発表数値はあてにならない点は留意)、国内投資の元手になる外貨準備高は下記のように推移してきました。

中国外貨準備高

出典:世界経済のネタ帳

つまり、4兆ドル弱の資金を中央銀行が保有し、これが国内投資へ向けることができたのです。

外貨流入が弱まり始めた

しかし、外貨流入が続いていた下記前提が、崩れてきました。

  • 実勢に対し割安な元レートへの魅力
  • 中国はこれからも高い経済成長をする

通貨の力関係は、長期で見ればその国の経済成長率(と、それに連動する長期金利)によって決まります。

中国の場合、経済成長見通しが高かった上、管理フロート制で取引されている人民元も緩やかな上昇となるように管理することで外貨流入を引き起こしていました。

しかし大前提とされてきた高い経済成長率が停滞し始め、その影響で外貨流入が弱まり、2015年は資本流出になっていく見通しとなっています。

このため中国政府は、法定準備率を引き下げ、マネーストックを増やす金融緩和を行うことで中国国内経済に影響が出ないようにしてきました。

資本流出に追い打ちを掛ける米利上げ

さて中国国外の状況を見てみると、中国の為替政策に大きく影響を与える事柄が起きています。

アメリカの利上げ懸念です。

中国は通貨バスケット制とはいえ、変動の9割以上をドルにリンクしており、現在の為替レートを維持するためには、アメリカ利上げに伴う米ドル高と同等の人民元高or為替介入を行う必要があります。

しかし状況から考えるとどちらも現実的ではなく、「実勢レートをより反映するため」という理由で、実質通貨切り下げを行ったのが今週の動きです。

これは上下変動を繰り返しながらも、元安トレンドになる可能性が高く、2005年の人民元改革以来10年ぶりの為替政策転換が起きたと考えられます。

また、量的緩和政策が出口を迎えたことで、その弊害の一つが出てきたとも言えます。

つまり、中国が通貨切り下げをしたからではなく、量的緩和政策の弊害が出てきたことへの警戒から、世界同時株安が起きた、と言えそうです。

基本的には売り。だが・・

このように外貨流入で経済発展してきた国に弊害が出ているだけではないようです。

典型的なのは商品市況で、原油、金、銅、穀物など、あらゆる商品市場で価格下落が起きています。

これも量的緩和政策で溢れた資金が物価高を生んでいましたが、アメリカ利上げに伴い資金が流出し、価格下落となっていると思われます。

特に金価格の下落は、高値の金価格を前提に鉱山開発された案件も多数あり、実体経済にも影響が大きいと考えられます。

過去記事:原油より金の急落が恐怖!量的緩和の弊害をCFD空売りで乗り切る

そのためこのまま9月利上げが行われれば、世界の株式市場は軟調となると思います。

追加金融緩和でバブルへ?

ただ個人的には9月利上げはないと考えています。

世界の株式市場が急落すれば景気に影響が出ますし、それはアメリカ経済にも影響を与えるからです。

9月利上げのアナウンスを十分にしておき、直前になって延期させ、マーケットに対し金融緩和を行うのと同じ効果を生ませると私は考えています。

また他国も追加金融緩和の余力があるはずで、日本には郵政上場による規制緩和という特殊要因もあります。

直近は下落基調ですが、やはり今の株高は続くと思います。

実態と徐々に離れ、バブルの匂いがしてくるはずですが、株が上がるのならとにかく”買い”スタンスです。

関連記事:株価リバウンドはいつ?資金流出が続く中国のSHIBORレートから目が離せない

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