配当割引モデルとは?
理論株価を求める考え方はいくつかありますが、その中でも将来の配当金を現在価値にして株価を求める方法を、「配当割引モデル」といいます。
今回は上場が迫っているゆうちょ銀行を例に、メガバンク3行と要求収益率を比較しながら、配当割引モデルの計算方法について説明したいと思います。
リスク・リターンを求める
まず始めに、大手3行の2009/10月-2015年10月の72ヶ月間における、リスクとリターンを求めました。
参考:Excelでポートフォリオ理論を実証!株式3銘柄の時系列データで分散投資を考える
メガバンク3行のリスクとリターンは、大きく変わらないことが分かりました。
株価の値動きによって、要求収益率に大きく差が付くことはなさそうです。
必要なデータを整理する
次に、要求収益率を求めるにあたって必要なデータを整理します。
要求収益率を求めるためには、下記情報が必要です。
- 株価
- 配当金
- 配当性向(or内部留保率)
- ROE
3行の株価と、2015年3月期における各指標は、図のようになりました。
要求収益率を求める
次に、各銀行の、市場が求める要求収益率を計算します。
計算式は下記となります。
ただし、
- P0:株価
- D1:配当金
- k:要求収益率
- g:配当成長率((1-配当性向)✕ROE)
この式をgoogleスプレッドシートに入力すると図のような結果となり、大手3行は8~10%ほどの要求収益率となっていることが分かりました。
ゆうちょ銀行の要求収益率を求める
では本題のゆうちょ銀行について計算します。
新規上場時に公開される目論見書によると、年間配当金50円、配当性向50%、ROE3.2%ということが分かりました。
10/19(月)に決定したゆうちょ銀行の売出価格1450円を元に要求収益率を求めたところ、5.05%となりました。
要求収益率が低いとは?
大手3行が8〜10%の要求収益率だったのに対し、ゆうちょ銀行は5.05%と低くなっていることが分かりました。
これは、
- ゆうちょ銀行は大手3行と比べリスクが低く、割高な株価でも妥当
- ゆうちょ銀行は成長余地があり、割高な株価でも妥当
と、市場が判断していることになります。
確かにゆうちょ銀行は設立の経緯から、暗黙の政府保証があり、仮に何かあったとしてもファニーメイやフレディーマック、東京電力のように政府救済が入る可能性が高いです。
また民業圧迫との批判から、ゆうちょ銀行には融資業務禁止など多くの規制が掛けられています。
過去記事:GPIFを超える株高?上場寸前ゆうちょ銀行の預け入れ限度額撤廃されたら
この規制緩和がされれば収益力向上に繋がるため、成長余地があるとも言えます。
200兆円を超す運用資金についても、株式などリスク性商品比率を高めることで、収益力UPに繋がるはずです。
逆に言えば、ゆうちょ銀行が持つ暗黙の政府保証や、規模の利益を除いてしまうと、市場から大手3行並みの要求収益率を求められてしまいます。
仮に大手3行並の10%の要求収益率を求められた場合、配当割引モデルを前提とすると、株価は600円を下回ることになります。
超大型上場まで2週間程となりましたが、今後も動向が気になるところです。
今回も使用したデータをgoogleスプレッドシートで閲覧できるようにしてあるので、参考にしてみてください。
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