シャープ再建を巡る争い
リーマン・ショック以降売り上げが伸び悩み、赤字体質から抜け出せないシャープが、経営危機に追い込まれています。
日経新聞のリーク記事でシャープ再建案が次々と出されていましたが、2016/2/4(木)、シャープは鴻海案に重点を置くことを発表しました。
優先交渉権を与えた訳ではない点も後日付け加えましたが、察するに下記のような思惑が動いているのかなーと思ったので、紹介したいと思います。
本音は産業革新機構案がいい
鴻海精密工業が出した再建案では、「40歳以下の若い社員の雇用は守る」という旨が含まれており、40歳以上従業員のリストラによる再建が行われる可能性があります。
抜本的な構造改革を先送りしてきた故の経営危機とはいえ、なかなかドラスティックな改革が行われる気がします。
その点産業革新機構による再建であれば、国益(天下り確保のための省益?)を考えた業界再編となるため、雇用がある程度守られると予想されます。
シャープ経営陣としても、なるべく自分たちに火の粉が飛ばないことを優先すると思われ、産業革新機構の提案を受け入れたいのではないかと思います。
旧村上ファンド陣による訴訟リスク
そんな産業革新機構の案を受け入れたいと考えているシャープ経営陣ですが、4日の発表で”鴻海精密工業の再建案に重点を置く”と発表した理由は、経営陣に対する訴訟リスクが出てきたためだと思われます。
2005年頃にメディアを騒がせていた旧村上ファンド出身のメンバーによる投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが、取締役会に対し「善管注意義務や忠実義務を果たしたのかを問う訴訟に発展しかねない」旨の書簡と送ったことが明らかになっています。
要は、「株主のために活動しない経営陣なら、訴訟して逮捕しますよ」という正当な脅しを掛けたということです。
もちろんこれは投資ファンド側の”株式価値向上のためのパフォーマンス”と思われますが、シナジー効果が見えにくい産業革新機構案よりも、支援額も大きい鴻海案を選ぶことで株価が上がることは目に見えており、経営陣に対し発破をかける形になりました。
シャープは3月上旬を目処に、どちらの支援案を選択するか決めるとのこと。
個人投資家としては株価が動いた方が面白いので、
- 産業革新機構案を最終選択
- 鴻海精密工業がシャープに対しTOB
- エフィッシモがプロキシファイトの重要ポジションに・・
みたいな手順を踏んでもらえると、歴史に残る面白い買収ストーリーになると思います。
追記:2/8(月)夕方、産業革新機構が鴻海案を上回る、1兆円規模の支援を提案したとのこと。
面白い戦いになってきました・・!
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