金額加重収益率の不都合
前回は金額加重収益率によって、”ファンドの時価増殖率”という面を評価しました。
しかし、実はこれを使って”ファンドマネジャーの運用能力”を測ろうとすると、不都合が生じてしまいます。
今回は、異なる運用者同士を比較評価するための計算方法、「時間加重収益率」について紹介したいと思います。
入出金でパフォーマンスが変わってしまう
金額加重収益率で生じる問題が、運用期間中に発生する入出金(キャッシュフロー)によって、最終的な収益率に違いが出てしまうことです。
そのため、ファンドマネジャーを評価する際は、ファンドの入出金というコントロールできない部分の影響を除いて、担当者ごとの運用能力を比較ことが必要です。
具体的に、異なるキャッシュフローが発生しているファンドA,B,Cを考えます。
2015年度におけるA,B,Cのファンドマネジャーは運用能力は全く同じで、2015年3月末〜9月末では20%、2015年9月末〜2016年3月末では10%のリターンを得られました。
しかし、3人のファンドマネジャーを金額加重収益率にて評価しようとすると、下記表のように、異なるリターンが出てしまいます。
全く同じ運用能力にも関わらず、2015年9月末に30万円のキャッシュアウトが生じたファンドBは34.12%の年間リターンを上げていますが、同時期に50万円のキャッシュインが生じたファンドCは29.6%と低いリターンとなっていることが分かります。
この不都合を解決するために生まれたのが、時間加重収益率となります。
時間加重収益率の計算式
時間加重収益率の計算式は、下記となります。
ただし、
- Vi:i時点の残高
- Fi:i時点に発生したキャッシュフロー
- t:期首から期末までの運用期間
とします。
内部収益率を求める
先ほどの計算式を、googleスプレッドシートに入力し、ファンドA,B,Cの内部収益率を求めます。
今回は期間tが1年となるため、1/t=1となります。
それぞれの時間加重収益率を求めたところ、32%のリターンとなり、ファンドマネジャーの能力が正しく評価されたことが分かりました。
今回も、googleスプレッドシートで計算式を閲覧できるようにしときます。
googleスプレッドシート:時間加重収益率
友人と運用成績を比較するときなどがあれば、時間加重収益率を用いて比較しましょう。
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