今週のマーケットを振り返る
週明けの株式市場は、リスク回避の売りが拡がりました。
週間で見ると1000円以上下げ、日経平均は19435円引け。
日経平均先物はニューヨーク引け時点で19100円まで値下がりしています。
アジア通貨危機を彷彿させる中国の株安・人民元安が原因となり、リスク回避の売りが続いている状況なのですが、今回は中国政府の為替介入と、その動向を占う上海インターバンク市場(SHIBOR)について紹介したいと思います。
資金流出に対抗する中国
前回の記事では、高い経済成長率を前提とした人民元高が崩れ、10年ぶりの人民元安トレンドに向かうとの考えを書きました。
変動相場制であればすぐにレートへ反映されますが、管理フロート制を取っている中国は急激な為替レート変更を望まず、為替介入によって緩やかな人民元高となるよう調整しています。
しかし主要国では為替介入時デイリーで報告されますが、中国の為替介入については政府発表がありません。
そのため為替介入の規模については、月に一度発表される”外貨準備高”以外実態を把握できるものがないのです。
金額ベースでの介入額は分からないのですが、ある市場を見ていると中国の為替介入の規模(逆を言えば資金流出の規模)が推測することができます。
それが上海にあるインターバンク取引市場、SHIBORです。
投資銀行などは直近の資金流出額を把握するためSHIBORをチェックしており、現在のマーケットでは影響力が高く注目されています。
ではSHIBORについて紹介する前に、為替介入の基本原理を説明したいと思います。
為替介入で市場はどう動くか?
イメージしやすくするためにドル円で円安が進み、過剰な円安が好ましくないため、為替介入で円高誘導をするケースを考えます。
上記の場合、一般的に以下のような経済現象が生じます。
- ドルの外貨準備を国内銀行へ売却
- 対価として政府は日本円を銀行から受け取る
- 銀行が持つ日本円が減少
- ハイパワードマネー(マネタリーベース)減少
- 信用創造による通貨供給量(マネーストック)が減少
- 需給関係により短期金融市場の金利が上昇
経済は、市場に流通している通貨供給量によって景気の良し悪しが決まる、という考え方があります。
つまりたくさんのお金が市場に流れていれば、取引が活発になり景気が上向くのに対し、お金が少なければ取引が停滞し不況となるわけです。
その通貨供給量は、ざっくり言えば、日銀が発行する現金を、民間の預金・貸出による信用創造で膨らませることによって決まります。
円高誘導の為替介入では、市場に出回る資金の基礎となるハイパワードマネーを、政府が市場から吸い上げてしまうため、通常は短期金融市場の金利が上昇してしまいます。
※もっと細かくいうと、この金利上昇を和らげる「不胎化介入(ふたいかかいにゅう)」というものもあり、為替介入と同時に買いオペを行い、国債や手形を銀行から買い上げることで、市場に現金を供給し、金利上昇を抑える手段もあります。
中国の短期金融市場SHIBOR
ではいよいよSHIBORについて説明したいと思います。
SHIBORとはShanghai InterBank Offerd Rate の略であり、中国における銀行間取引(インターバンク)市場です。
下記表は直近10営業日における金利の一覧表ですが、O/N(オーバーナイト、翌日返済する際の銀行間短期金利)という項目が直近で急騰していることが分かります。
為替介入を行うと短期金融市場で金利が上がる原則がありますが、直近の中国市場では短期金利が上昇しており、為替介入が行われていると推測されます。
つまり、現在のドル・人民元レートを維持するために大量のドル売り介入が行われており、逆に言えば中国からそれだけの資金流出が起きていると考えられます。
この短期金利上昇が続く限り、中国以外でも新興国からの資金流出が懸念され、株価も下落トレンドを続ける可能性があります。
短期金利上昇を横目に、跳ね上がるプットオプションを売買する・・のも面白そうです。
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