デリバティブの本買いました
先週は大手町出張があったので、丸善で本探し。
丸善は話題の経済関連テーマをいつも置いてるので、お気に入りです。
先日はフィンテック関連と、デリバティブ関連が中心だったので、デリバティブの本を購入しました。
今回はそんなデリバティブに関する本の中から、為替リスクのヘッジ方法が個人的に面白かったので、紹介したいと思います。
為替リスクが生じるとは?
国内のみを取引範囲としている企業にとっては影響ありませんが、事業をグローバルに展開している企業にとって、為替変動リスクはなるべく避けたいものです。
企業価値とは将来生み出すキャシュフローを現在価値にしたものであり、そのキャッシュフローが変動することは、リスクプレミアムを考慮した企業価値にディスカウントされてしまうからです。
将来の為替レートに先見の明があるなら別ですが、多くの人にとって為替レートを予想することは不可能であり、リスクを抑えるためにヘッジするのは正しいと思います。
では、どれだけの金額をヘッジすればいいのでしょうか?
エクスポージャーとは?
外貨建て資産として、売掛金15億ドル、買掛金10億ドルを持つ輸出企業を考えます。
このとき為替リスクに晒されている部分は、外貨建てとなっている資産25億ドル(15億ドル+10億ドル)すべてではなく、売掛金と買掛金の差額5億ドル(15億ドル-10億ドル)となります。
リスクを測る場合は、グロスではなくネットで考えます。
特にこのネットで計算された差額部分を、エクスポージャーといい、表で整理すると下記のようになります。
また、為替レートによる受取・支払金額の変動は、下記表のようになります。
つまり、現時点の為替レートが120円/ドルのとき、将来の企業業績は、為替レートによって下記のように変動します。
企業としては、為替レートにより±100億円という変動リスクを負っていることになり、これが大きいと判断すれば、リスクヘッジを検討する必要があります。
為替リスクヘッジ方法
為替予約取引によるヘッジ
為替リスクをヘッジする代表例が、為替予約取引によるヘッジ方法です。
5億ドルの為替予約を120円(米ドル売り)で設定したとすると、将来の損益は下記表のようになります。
これにより、為替変動によるリスクをヘッジできたことが分かります。
外貨建債権によるヘッジ
為替予約取引以外にも、為替リスクをヘッジする方法があります。
それが、外貨建債権の発行による資金調達です。
この企業におけるバランスシートを確認したところ、下記表のようになっていることが分かりました。
外貨建資産として5億ドルのエクスポージャーがありましたが、ここで5億ドルの外貨建債権を発行し、既存の借入金返済に充てることによっても、為替リスクをヘッジすることができます。
5億ドルの外貨建債権を発行した場合の、為替変動による企業の利益は下記のようになります。
120円/ドルで借入した場合のバランスシートは、7億円の借入金が、1億円の借入金+5億ドルの借入金と変更となります。
為替予約レートの作成
最後に、為替予約レートの作成方法についてです。
現時点のドル円が120円/ドルだからといって、5年後の為替予約レートが120円/ドルになるわけではありません。
為替予約レート作成時には、現時点の為替レートとスポットレートを元に、将来価値が同額となるレートを求めます。
例えば、2016/1/22時点の日米金利(スポットレート)は、下記表のようになっていました。
ここで、5年間の為替予約取引を行うとします。
日本円、米ドルの5年物スポットレートはそれぞれ、0.02%、1.48%であることが分かります。
現時点の為替レートが120円/ドルだとして、日本円、米ドルの5年後の価値は、下記となります。
- 120円×(1+0.0002)^5=120.12円
- 1ドル×(1+0.0148)^5=1.08ドル
この将来価値が同じとなる為替レートは、
120.12円÷1.08ドル=111.61円
であり、5年物の為替予約を行う場合は、111.61円にて取引することになります。
この計算式と、2016/1/22時点のスポットレートについては、googleスプレッドシートで見れるようにしておきますので、参考にしてください。
以上、為替リスクのヘッジ方法についてでした。
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