T-billとは?

今回はCFA試験でも出題される、T-bill(Treasury Bills:米国短期証券)で使用される様々な金利について、紹介したいと思います。

そもそもT-billは、アメリカ政府(財務省)が発行する米国債の一つです。

償還期間によって呼び名が変わり、

  • T-bill:償還期間が1年以下
  • T-note:償還期間が1年超〜10年以下
  • T-bond:償還期間が10年超

という区分けがされています。

T-billはFRBの公開市場操作の対象にもなっているため、聞いたことある方も多いかもしれません。

T-billに使われる様々な金利

T-billに関連する金利として、CFAでは以下4つが登場します。

  1. Bank Discount Yield(BDY)
  2. holding Period Yield(HPY)
  3. Effective Annual Yield(EAY)
  4. Money market Yield(MMY)

それぞれの違いは、以下のようになります。

①Bank Discount Yield(BDY)

T-billの利回り表記方法として一般に使用されている、金利指標です。

T-bill自体は金利が付かない割引債(=Discount bond)のため、Discountという名前が入っています。

ここで債券の割引額をD、額面金額(Face amount)をF、償還期間をtとしたとき、BDY利回りrの計算式は以下となります。

{ r }_{ BD }=\left( \frac { D }{ F }  \right) \left( \frac { 360 }{ t }  \right)

ただBDYには欠点(=shortcomings)が3つあります。

  • 購入金額ではなく、額面金額に基づく利回りになっている(→実際の利益や利回りが分からない)
  • 1年を360日として計算している(→365日ではない)
  • 複利ではなく、単利で計算されている(→金利に正確さがない)

これら欠点をカバーするため、他の金利指標が出てきました。

②Holding Period Yield(HPY)

保有期間利回りのことで、年率換算したり、複利計算したりしないのが特徴です。

P0を購入価格、P1を売却価格としたとき、計算式は以下となります。

HPY=\frac { { P }_{ 1 }-{ P }_{ 0 }+{ D }_{ 1 } }{ { P }_{ 0 } }

※P1-P0=売却益、D=債券の割引額

また購入価格と額面金額が等しいとき、以下のように表せます。

HPY=\frac { { P }_{ 1 }-{ P }_{ 0 }+{ D }_{ 1 } }{ { P }_{ 0 } } =\left( \frac { D }{ F-D }  \right) 

このHPYを応用することで、EAYというより正確な年間利回りを計算することが出来ます。

③Effective Annual Yield(EAY)

実効利回りのことで、1年を365日、複利計算ベースでみた年間利回りを表します。

今回紹介する金利の中で、最も正確に利回りを表現しており、計算式は以下となります。

EAY={ \left( 1+HPY \right)  }^{ 365/t }-1

保有期間利回りHPYを365日/tで複利換算することで、実効利回りEAYを得ることが出来ます。

④Money market Yield(MMY)

金融市場利回りと呼ばれます。

EAYではHPYを元に、1年を365日、複利計算して求めましたが、MMYではHPYを元に、1年を360日、単利ベースで計算します

計算式は下記となります。

{ r }_{ MM }=\left( \frac { D }{ F-D }  \right) \left( \frac { 360 }{ t }  \right) 

別の言い方をすれば、BDYでは額面金額ベースだった利回りを、購入価格ベースに置き換えた金利とも言えます。

4つの金利を表で整理すると、下記のようになります。

項目 Bank Discount Yield Holding Period Yield Effective Period Yield Money market Yield
複利計算 なし なし あり なし
分母 額面金額 購入金額 購入金額 購入金額
年間日数 360日 365日 360日

4つの金利を使った実例

額面F=1000ドル、t=100日満期のT-billが950ドルで売られている(割引金額D=50)とします。

このとき、それぞれの金利を求めると、①BDYは

BDY=\left( \frac { D }{ F }  \right) \left( \frac { 360 }{ t }  \right) \\ =\frac { 50 }{ 1000 } \times \frac { 360 }{ 100 } \\ =0.18

よってBDY=18.0%となります。

また②HPYは、

HPY=\frac { { P }_{ 1 }-{ P }_{ 0 }+{ D }_{ 1 } }{ { P }_{ 0 } } \\ =\left( \frac { D }{ F-D }  \right) \\ =\frac { 50 }{ 1000-50 } \\ =0.052

よって、HPY=5,2%となります。

また③EPYは、

EAY={ \left( 1+HPY \right)  }^{ 365/t }-1\\ ={ \left( 1+0.052 \right)  }^{ 365/100 }-1\\ =0.2032

よってEAY=20.3%となります。

また④MMYは、

{ r }_{ MM }=\left( \frac { D }{ F-D }  \right) \left( \frac { 360 }{ t }  \right) \\ =\left( \frac { 50 }{ 1000-50 }  \right) \left( \frac { 360 }{ 100 }  \right) \\ =0.189

よってMMY=18.9%となります。

最後に、それぞれの金利では①BDY<④MMY<③EPYという関係が成り立ちます。

計算結果を見ても分かりますね。

CFA試験ではそれぞれの違いが問われるようなので、復習しておきましょう。

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【CFA】T-bill(米国短期証券)で使われるBDY、HPY、EAY、MMY金利の違いとは