日本国債利回りが引き続きマイナス

先日の記事でも紹介しましたが、日銀の追加金融緩和もあり、10年物の長期国債でマイナス金利が続いています。

マイナス金利ということは、当然ながら、毎年のクーポン(利子)を受け取ったとしても、満期時には購入した国債価格よりも安く償還されることになります。

こういったマイナス金利が常態化しているため忘れてしまいがちなのですが、そもそもなぜ、マイナス金利になるような価格で、国債が取引されているのでしょうか?

それには理由があります。

海外資金の流入

上記図は2016.10.2時点での主要国(G7)における各国の国債利回りを、イールドカーブで表現したものです。

見て分かる通り、マイナス金利に陥っているのは、日本だけではありません。

7年物国債までに限っては、日本の国債はドイツ国債やフランス国債よりも、高い金利が付いていることが分かります。

つまりこれらの国では、日本以上に機関投資家が運用難に追い込まれており、少しでも利回りの高い商品に資金流出が起きている状況になります。

低金利通貨を売って高金利通貨を買うことで金利スワップを生む事ができますが、マイナス金利下においても同様に、ドイツ国債を売って国家的類似性のある日本国債を買うことで、金利スワップを得る動きがあるのです。

より高値で日銀に売る

国債償還時にマイナスとなってしまうほど国債が高値で買われている理由として、ディーラー達がより高値で、量的緩和政策を行う日銀に買い取ってもらおうとする動きが挙げられます。

参考記事:ついにマイナス金利!時系列データで日銀のバランスシート推移を作ってみた

日銀は金融政策としてマネタリーベースの増加を行うことを宣言しており、確実に買いが入る国債を高値で購入しても、さらに高値で日銀に買い取らせる見通しをディーラー達が立てています。

そのため、国債がマイナス金利であっても継続的に取引がされているのです。

課題はフラット化する金利

日本における課題を挙げるとすれば、上記図で紹介した日本のイールドカーブが、かなりフラット(短期金利も長期金利もほとんど変わらない)になっている点です。

その他主要国と比べても、そのフラットさが目立ちます。

イールドカーブがフラットになれば、将来の金利上昇を表すフォアードレートも横ばいとなるため、設備投資など生産性を上げるための企業側インセンティブが抑制される悪影響が出てしまいます。

マイナス金利発表でイールドカーブとフォアードレートはどう変化したか?

ただ民間投資についても、金利が低いから投資をするという環境ではなく(投資の利子弾力性がないに等しい)、オリンピックなど拡張的財政政策を呼び水として、国民所得向上→民間投資呼び込みを促すのが、経済原論的にはいいのかもしれません。

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